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終活・エンディングノートから始めてみられませんか?

 

「終活」ということばが認知度を上げてきている昨今ですが、その意味についてはなんとなく知っている方が多いのではないでしょうか?
一般社団法人終活カウンセラー協会によると「終活」とは、人生の終焉を考えることを通じて、自分を見つめ今をよりよく自分らしく生きる活動のことを言います。さらに、自分の大切な想い、財産、生きてきた証をしっかりと後世に繋げ、大切な家族が困らないようにしっかりと準備し、今をよりよく生きていくための活動でもあります。

その活動のひとつとして、エンディングノートというものがあります。最近では、様々なエンディングノートが本屋などで売られています。どういう想いで生きてきたかを振り返り、今後はどういう人生を歩みたいか、どのような想いやメッセージをご家族や大切な人たちに伝えていきたいか、葬儀に呼んで欲しい人リストであるとか、持っている財産はこういうものがあるとか、一つのノートにまとめて書くことができるようになっています。

自分自身の親のことを考えると遺言があるのも最適ですが、加えてエンディングノートがあれば残された家族として、親の想いをより理解できるでしょうし、亡くなった後の手続きについても、動きが取りやすいこともあると思います。
事故にあったりして、突然に意識不明で入院することになったり、認知症で判断能力が無くなったときにも、見守る家族の判断材料の一つになるという点はとても重要です。

例えば、下記のような項目をノートに記載し、備忘録としておくのも良いでしょう。

・アレルギーの有無
・直近の健康診断結果で気になる点
・持病
・常用している薬
・掛かりつけの病院
・入院時の連絡先リスト
・新聞や雑誌、宅配食材、スポーツジム、各種スクール、WEBサービス、SNSなど購入・利用を停止して欲しいサービスなどの一覧
・介護に関する希望
(例えば誰に介護して欲しいか、どこで介護を受けたいか、食べ物についての情報や介護に関する費用について保険があることなど)
・告知・延命治療についての意思
(延命治療と尊厳死の意思、臓器提供や献体の意思があるかなど)
・実印の保管場所
・権利証など重要書類の保管場所
・キャッシュカードやクレジットカードの暗証番号
・パソコンや携帯電話のパスワード
・自分の葬儀に呼んで欲しい友人リスト
・自分の葬儀の規模と内容、宗教宗派、献花や音楽
・自分を埋葬して欲しいお墓についての情報
・どういう財産を持っているかのリスト(預貯金・株式・有価証券・不動産・ゴルフの会員権、電子マネー、ポイントカード、暗号資産、クレジットカード、貸金庫、トランクルーム、貴金属、美術品、書画骨董、着物、ブランド品、自動車、バイク、コレクション、収集品、貸付金など)、
・負の財産のリスト(借入金や他人の借金の保証人になっていること)
・年金や加入している生命保険
・ペットについての情報

挙げだしたら切りはありませんが、あればあるほど、残される家族にとっては有益なものになるはずです。

また、最近では、デジタル遺品と呼ばれるインターネット上のブログやSNSなどのアカウントやパスワードなどをエンディングノートに記載し、もしもの時があった際には、削除要請をしておくことも大切になってくるかもしれません。

このような細々としたことを体が衰弱してからでは整理して記載することはとてもできることではありません。元気なうちに、しっかりした判断で、その財産をどのように承継、処分していってほしいかを考えて、記していくことが残される家族にとっても非常に有難い情報になるでしょう。

そのことを知らずに亡くなられる方が多すぎます。大切な想い(それが事務的なことでも)を記したエンディングノートの必要性を認識していらっしゃる皆様は、どうか、大事な家族や友人にそのことを伝えてあげてください。

広い意味での終活というのは、もちろん、法律的な権利保全の為のもの、遺言や民事信託・家族信託も含まれます。しかし、それ以外のことも、身近な家族には同様に重要なことだと思います。どちらを先にするかは、それぞれの感覚で進められたらと思いますが、どこから手を付けたらよいか分からない方もいらっしゃると思います。とりあえず、エンディングノートを書きだすことでも良いと思いますし、自分が亡くなった後のことを真剣に考え、遺言書を書いてみることでも良いと思います。身近な家族に対して、自分の想いを語ってみることから始めても良いでしょう。是非、気軽に始めてみてください。

その想いを応援する法律専門家や終活カウンセラーは、いっぱいいらっしゃいます。自分一人ではなかなか手が付けられない方は、そういう方に相談なされるのも一つだと思います。

 

当事務所にも、終活カウンセラーはおります。遺言作成相談とともにお気軽にご相談ください。