• 遺言作成

秘密証書遺言について

遺言には、大きく自筆証書遺言と公正証書遺言の2つがありますが、マニアック遺言形式に秘密証書遺言というものがあります。

これは、遺言の内容を誰にも知られたくない場合に用いるものですが、遺言全体の0.1%程度で利用度がかなり低い状態であります。

その特徴について、まとめてみたい。(月報司法書士2021.7参照)

(秘密証書遺言)
第九百七十条 秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
二 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
三 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
2 第九百六十八条第三項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。
 
特徴①遺言を他の人に筆記させてもよいし、財産目録以外も印字でもOK
特徴②口授ができない遺言者が遺言するのに使えます。
特徴③偽造・改ざんを防止
特徴④手数料を安価にできる 一律11000円
 
注意①公証役場で保管されない
 秘密証書遺言は、封印した状態の遺言書を公証人に提出し、遺言者、公証人、証人の署名押印をするなどした証書を封筒に貼付するが、当該遺言書の入った封筒を公証役場で保管されることはなく、遺言者に返還されるので、紛失のリスクがあることには注意を要します。
注意②自署できない遺言者は、秘密証書遺言を作成できない
注意③封印に用いる印は、遺言書に押印した印と同一であること
注意④遺言者の遺言能力があること 動画なども一緒に同封することで遺言能力をてん補
注意⑤遺言執行を速やかに なぜなら検認手続きが必要
 
上記の通りの特徴がある秘密証書遺言ですが、遺言能力などの確認の点、保管の確実性の点、迅速な遺言執行の点で公正証書遺言のほうが有効であることは明白であります。
しかし、絶対に中身を誰にも知られたくない人には、使える方法なのかもしれません。
その遺言が後々、問題にならないように、しっかり専門家が補完できる状態を作ることができれば、もっと利用が普及するかもしれないとも思います。
 
当事務所では、様々なニーズにあった遺言作成プランを用意しております。
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