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特別寄与分ってなんですか?

寄与分が、共同相続人中に、被相続人の財産の維持または増加について特別の貢献寄与をした者があるときに、その貢献を考慮して相続分を計算するものであるのに対して、①相続人以外の親族(配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族)が、②被相続人に対し療養看護その他の労務を無償で提供をしたことにより、③被相続人の財産が維持又は増加した場合に、その寄与に応じて相続人に対して請求できる金銭的請求を特別寄与分と言います。

この特別寄与分は、親族であることが要求されますので、亡くなった主人の両親を介護する奥様(姻族関係の終了届を出していない)や、養子縁組のない前妻の子供(但し、配偶者とは死別で姻族関係終了届を出していない)などが該当すると思われます。

この要件により、はじかれる方でありそうなケースとして、離婚後も介護をしているような元配偶者や、配偶者と離婚した後妻と前妻の子はいくら介護していたとしても特別寄与者になり得ないことも想定されます。

相続人に認められる寄与分制度では、5つの類型(家事従事型・金銭等出資型・療養看護型・扶養型・財産管理型)について特別の寄与と評価されるのに対して、改正により新設された特別寄与料の制度では、特別寄与者の「療養看護」または「その他の労務の提供」のみが特別寄与料の対象となります。

 

この特別寄与分の請求は、相続開始および相続人を知った日から6ヶ月または相続開始のときから1年となっております。(1050条2項但書)

いずれにしてもお早目にされることをお勧めします。

 

民法第1050条
 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。
2 前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでない。
3 前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。
4 特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
5 相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第九百条から第九百二条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。